Google I/Oの感想など
前回のエントリではGoogle I/OがAndroid一色だったことをDisるようなことを書いたわけだけど、それでも全体を通して一番インパクトがあったのはやっぱりAndroid ADKかなと。
一応、知らない人のために書いておくと、Android ADKはAndroidと外部機器をオープンな規格で繋ぐもの。ちょっとした電子工作ができれば、テレビのリモコンでも体重計でもガイガーカウンターでも、なんでもAndroidケータイに繋ぐことができる(はず)。ハードウェアを自由に繋げるケータイなんて今まで見たことがないし、そんなのアップルは絶対にやらない。
Androidは劣化iPhoneのような雰囲気があったけど、このADKでそれとはまったく違う世界を拓いたように思う。もしPC上で動くアプリケーションしか作ったことがない人がいたら、是非この機会にADKを手に入れてセンサーやアクチュエータを使ったプログラミングを試してみてほしい。きっと全く違った面白さがあるので。
Google I/OはGoogleplexで行われたらしい第0回を除いて、幸いなことに4回全部参加させてもらってるんだけど、ホント4年でいろいろ変わったなぁと言うのが最大の感想。もちろん毎回Google I/Oの雰囲気から垣間見れるGoogle社内の自由な雰囲気はきっとほぼ変わらずにそのまま。ただ、やってることが全然違う。4年前って(社内的にはともかく公には)AndroidもChromeも微塵も存在していなかったのに、今年の中心はその二つ。Googleの規模の会社がたった4年でここまで変われるものかって感じ。
でももっと凄いのが、とても大きな変わり様に見えて、今の時点から遡って過去を眺めなおしてみると、もしかしてこれは予定されていたことかもしれないとも感じられること。4年前のGoogle I/OはGoogle MapsのAPI辺りが目玉だった。そのMapsから始まったAJAXを使ったリッチウェブアプリの流れは、初めからウェブOS上で利用するためのアプリケーションを見越してのものだったように今になって思われる。Chrome登場時も「なんでGoogleがブラウザを?」と思ったものだったけれど、結局それはウェブアプリをクライアントアプリとして実行できるChromeOS & Chromebookに直結していたわけで。
要するにGoogleは「ウェブに繋がっていることを前提としたコンピューターの世界」をゼロから再設計したいんだろうなと、最近ようやく分かってきた。IMEを作ったりプログラミング言語を作ったりとGoogleのやることは節操がないように感じることも多いけど、ウェブがなかったころに作られたあらゆるものを「もしウェブが前提だったら」という視点で考え直してるとしたら、私たちには節操がないように感じられても、彼らにはなにか一貫した世界が見えているのかもしれない。
Google I/Oは続けて参加することで、点が線になって繋がって彼らの思い描く世界が少しずつ見えていくような面白さがあるように思う。家庭の事情でどうなるか分からないけど、可能なら来年も是非参加したい。