プログラマのキモチ

プログラマにとって最高の会社は、プログラマが社長をやらない限り作れない。


基本的にプログラマはお金よりも評価がほしい。製品を、能力を、認められたい。つーか同じ能力で、いわゆる理系職と文系職を比べたら文系職の方が給料が高いのは誰の目にも明らかなのに、それでもプログラマを選んだ時点でお金は一番じゃないのは当然至極。ただし贅沢なことに、ほしい評価と言うのが、誰からの評価でもかまわないわけじゃない。分かってる人の評価がほしい。


プログラムと聞いて一番に運動会を思い浮かべるような、そんな営業に「わぁーすごいですねー」と成果を褒められたところでなんになる?もちろんシャイでナイスガイなプログラマは照れたような笑顔で「はは、そうですか?ありがとうございます」と当たり障りのない返礼をするだろう。だけどそんなのは上辺だけ。内心は「どこ見てんだよ、ドシロートが。注目すべきはそこじゃねーだろ。見ろよ、この×××を」といったところだ。


ただし、その注目して欲しい×××を的確に褒めてもらえるとこの上なくうれしい。それだけじゃなく、その人の中での褒めた人の評価自体もあがる。こいつは分かってる奴だ。そう、プログラマにとって他人を褒めるというのは単なる社交辞令じゃなく、ある意味で真剣勝負みたいなものだ。俺は一目でお前のプログラムの概略を掴んだ。その上でポイントとなる技術を見抜き的確に指摘(賞賛)してみせた。おまえもすごいがおれもすごいだろう、みたいな。


ここが技術を全く分からない社長だと苦しい。せっかく社員の作ったわけのわからんもんを褒めてるつもりなのに、プログラマどもは全然うれしそうじゃない。どころか、褒めれば褒めるほど馬鹿にするようになってる気すらする。そんなことを繰り返してるうちに、プログラマの相手をするのが嫌になってくる。あいつらは何を考えてるのか分からない。同じ人間とも思えない。で、次第に営業や総務とばかり付き合うようになってくる。


困ったことに、この営業と総務はプログラマにとって敵だ。顧客の前でいい加減なはったりをかまして無茶苦茶な仕様を滅茶苦茶な納期で納めろといってくるバカ営業と、全くどうでもいい書類を催促するしか脳がなく、俺様の作ったプログラムなら0.01秒で済ませるような仕事に一日を費やすクズ総務。


だから、もちろん、営業と総務にとってもプログラマは敵だ。何を言っても「できない」としか答えられない無能どもや、机の上におもちゃばかり並べて、簡単な書類すら期限通り出せない低能ども。そんなフィルタ(真実かもしれないけど)を通してしかプログラマに関する情報を得られなくなった社長が率いる会社がプログラマにとって居心地がいいわけはない。


結局この負の連鎖を断ち切るには、社長がプログラムをするか、プログラマが社長をする他ない。