Google Wave API Japanキックオフパーティで言えなかったこと

Google Wave API Japanグループの管理人の一人ということになっているあんどうです。

まずは平日木曜の夜にも関わらずキックオフパーティに参加してくださったみなさん、どうもありがとうございました。Google Waveは非常にポテンシャルの高いサービスではありますが、実際に盛り上げて行くにはみなさんのような人柱アーリアダプターの方々の力が必要不可欠です。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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とここまでお約束で、ここからが本題。パーティ最初の3本のLT?が予定外に時間を取りすぎ、「もうみんな早く飲み食いしたいだろうな」と思って乾杯の挨拶では敢えて言わなかったことについてちょっと書きます。*1

Google Waveを初めて見たのは今年のGoogle I/O二日目の基調講演だったんですが、あの熱狂は実際大したものでした。プレゼンが終わったときにはあのだだっ広い会場ほぼ総立ちだったし、ノートパソコンぶんぶん振り回して叫んでる人とかいたし。で、翻って今の日本の現状。Twitterみててもだいたいが、重いーとか、バグるーとか、意味分かんねーだとか、いまいちな反応ばかり。その辺がちょっと残念なわけです。

Waveがプロダクトとしてまだちょっと微妙な完成度というのは正直事実だと思います。ただ、Waveの本質はそこじゃありません。Waveで重要なのは「任意のXMLドキュメントをインターネットのような遅延の大きい環境の下でも同時編集できる」こと、つまりそれを実現するプロトコルこそが本質です。

XMLと聞くと単なる構造化されたテキストデータだと思う人もいるかもしれませんが、例えば、MS Officeのデフォルトの保存形式はXMLです。つまりWaveプロトコルを使用すればインターネット越しにWordやExcelのドキュメントを同時編集することが可能になります。 ベクターグラフィックも楽譜も3Dも、実際のところほとんどなんだってXMLで表現できます。もちろんパフォーマンスはバイナリフォーマットの独自プロトコルよりも大分劣るでしょうが、「人間が同時に編集する」というシチュエーションで、人間の反応速度を超えるようなパフォーマンスはそもそも不要です。

今のGoogle Waveの先、そこにはネット上のありとあらゆるドキュメントがリアルタイムでユーザーに編集され正しい姿を目指して常に形を変え続ける*2、そういう未来があります。どうでしょう、そう考えるとわくわくしてきませんか?

Google Waveはよく見るベータバージョンではなく、あまり耳にしないpreviewバージョンとして公開されています。これはGoogleがいつものGoogleプロダクトよりもすこし手前の段階、例えばサービスの方向性やユースケースなどについてもユーザーの意見を求めているということではないでしょうか?

もちろんAPIを利用してちょっとしたゲームを開発するのも楽しいことです。でもAPIをそういう用途にしか使わないのは少しもったいない話です。あらゆるものがリアルタイムに変化し続けるWebとはどういうものか。公開されているAPIプロトコルを利用して皆さんの考える新しいWebのありようをGoogleに伝えることができたら、5年後10年後にはそのアイデアが世界を変えていることだってありえます。

Google Wave API Japanグループはそういうアイデアを育てる場であったり、実現を助ける場であれたらいいなと思っています。

乾杯。

*1:といっても、最後の挨拶で松尾さんに全部言われちゃったんですが、ここは敢えてそれには触れずに進めます。ほぼ同じ話なので全部に「松尾さんがいってましたがー」的なエクスキューズ付けると話の流れが悪くて仕方ないので・・・

*2:個人的にSmalltalk環境のようなものを妄想してます